最低賃金の答申が出そろい全国平均1,177円へ
令和8年9月3日、すべての都道府県で令和8年度(2026年度)の地域別最低賃金の改定額が答申され、全国の新しい時給が出そろいました。全国加重平均は56円引き上げの1,177円。7月に示された目安(55円)を1円上回る過去最高水準です。本記事は、経営者とご担当者の両方に向けて、確定した改定額のポイント、県ごとに異なる適用開始の時期、そして改定日までに自社でやるべきことを整理します。
令和8年度の最低賃金

今回の答申で確定した主な数字は次のとおりです。
- 全国加重平均は1,177円(改定前1,121円)。引上げ額は56円、率にして約5.0%です。
- 最高額は東京の1,280円、最低額は宮崎の1,085円。全都道府県が1,000円を超えた前年度に続き、最低額はさらに1,085円まで底上げされました。
- 7月の目安はAランク54円・Bランク56円・Cランク56円でしたが、多くの県が目安を上回る額を答申。全国平均でも目安より1円高い結果になりました。
近年は大幅な引上げが続いています。人件費は「一時的な増加」ではなく、毎年上がることを前提にした資金繰りと価格設定が求められる局面です。
最低賃金の適用時期
「最低賃金は10月から」と考えている会社は少なくありませんが、令和8年度に10月1日から適用が始まるのは47都道府県のうち15県だけです。残りは10月中から順に切り替わり、最も遅い沖縄は12月2日。適用の開始日が県によって最大2か月ずれます。
前年度は多くの地域で適用開始が11月以降にずれ込み、6県は翌年にまで越年しました。それに比べ今年は、大半の地域が10月中の適用開始を予定しており、原則に回帰する動きが目立ちます。ただし、熊本は地震による企業への影響に配慮して12月に遅らせ、岩手と沖縄も同じく12月からの適用です。地域差は残るため、「自社の県は何月何日から新しい額になるか」を確認する必要がある点は変わりません。
複数の県に事業場がある会社は、県ごとに改定日と改定額が違う点に特に注意してください。適用されるのは「働く場所(事業場の所在地)」の最低賃金で、従業員の住所地ではありません。この考え方は当事務所の相談事例(最低賃金の適用、都道府県をまたぐ場合)でも紹介しています。
対象になるのはどんな会社・どんな人か
最低賃金はパート・アルバイトだけの話ではありません。正社員や月給制の従業員も対象で、月給を時間額に換算したときに、その県の最低賃金を下回っていれば違反になります。派遣社員は派遣元ではなく派遣先の地域の最低賃金が適用されます。
比較のときは、最低賃金の計算に算入できない賃金(精皆勤・通勤・家族手当や割増賃金、賞与など)がある点にも注意が必要です。どの手当が判定から除かれるか、月給からの時給換算の方法とあわせて、当事務所の賃金チェックの記事で詳しく解説しています。
改定日までにやるべき4つのこと
- 自社の適用開始日を確認する。事業場のある県の改定額と適用開始日を押さえ、複数県に拠点がある場合は県ごとに整理します。
- 時給換算でチェックする。月給者は「月給÷1か月の所定労働時間」で時間額に直し、除外する手当を差し引いて新しい最低賃金と比べます。最も低い人が基準を超えているかを見ます。
- 賃金テーブル全体への影響を見る。最低賃金付近の人だけ上げると、少し上の等級と差が詰まって不満の原因になります。原資の確保とあわせて、テーブル全体の見直しを検討します。
- 書類を更新し、使える支援を確認する。雇用契約書・賃金規程・賃金台帳を新単価に更新。設備投資とあわせて賃上げする場合は、費用の一部が助成される業務改善助成金の活用も選択肢です。
すぐ使える|最低賃金クリア チェックリスト
改定日の前に、次の項目を埋めながら自社の状況を確認してみてください。
- ☐ 当社の事業場がある県:____/改定後の最低賃金:____円/適用開始日:令和8年__月__日
- ☐ 最も時給(換算額)が低い従業員の時間額:____円 → 新しい最低賃金を上回っているか:☐はい ☐いいえ
- ☐ 月給者の時給換算をした(月給÷所定労働時間・除外手当を控除):☐済
- ☐ 精皆勤・通勤・家族手当などを判定から除いて計算した:☐済
- ☐ 雇用契約書・賃金規程・賃金台帳を新単価に更新する予定日:__月__日
- ☐ 引上げの原資を確認した:☐済
換算方法が合っているか不安、拠点ごとの適用開始日や賃金テーブルの調整まで手が回らない──そんなときは、規程・台帳への反映まで含めて当事務所がサポートします。お問い合わせはこちら。
まとめ
令和8年度の最低賃金は全国平均1,177円へ。引上げ額そのものよりも、「自社の適用開始日はいつで、その日までに何を直すか」を具体的な日付に落とし込めているかが分かれ目です。適用開始日を確認し、時給換算でチェックし、書類を更新する。この3点を改定日の前に終えておけば、月をまたいでの支払いミスや是正指導を避けられます。早めの一手が、重要です。
「気づかないうちに最低賃金を下回っていた」は、遡っての差額支払いにつながります。
Jinji社会保険労務士法人では、最低賃金クリアの確認、月給者の時給換算、賃金規程・賃金台帳の更新、賃上げに使える助成金のご相談まで承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
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参考
厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html
厚生労働省「すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました(令和8年9月3日)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html
厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金 答申状況(別紙・都道府県別一覧)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001745621.pdf
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

