お盆休みを「有給扱い」にしてよい?|勝手な有給消化は違法、適法な方法について解説

「お盆はうちの会社は有給を充てて一斉に休む」。よくある運用ですが、実はやり方を誤ると違法になり、罰則の対象にもなり得ます。お盆休み(夏季休暇)と有給休暇は本来別のもので、会社が社員の同意なく有給を消化させることは原則できません。経営者・人事労務のご担当者に向けて、お盆休みと有給の正しい関係、適法に有給を充てる方法、就業規則での定め方を整理します。

お盆休み(夏季休暇)は、そもそも法律上の休みではない

意外に思われるかもしれませんが、お盆休みや夏季休暇は、法律で義務づけられた休暇ではありません。国民の祝日でもないため、休みにするかどうか、有給にするか無給にするかは、基本的に会社が就業規則などで決めることになります。実際、夏季休暇を会社の休日として定めている会社が多くあります。

まず整理したいのは、お盆休みには次のような扱い方があり、どれを選ぶかで給料への影響が変わるという点です。

  • 会社の休日(所定休日)にする|もともと働く義務のない日と定める。月給制の社員は、休日の分ももともと月給に含まれているため、月給は変わりません。日給制・時給制の社員は、その日の賃金は発生しません
  • 有給休暇を充てる|賃金は満額支払われる。ただし後述のルールを守る必要がある

「勝手に有給を消化させる」のは違法

ここが最も注意したいポイントです。有給休暇は本来、社員が「この日に取ります」と自分で決めて取得するものです(時季指定権)。そのため、会社が本人の同意なく、お盆に有給を一方的に充てることは原則として認められません

正当な理由なく社員の有給を侵害した場合、労働基準法違反として、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になり得ます。「就業規則にお盆は有給消化と書いてあるから」という理由だけで一律に消化させるのは危険です。「休ませたのに、あとで有給を返せと言われた」といったトラブルにもつながります。

適法にお盆へ有給を充てる2つの方法

前提として、お盆を会社の休日(所定休日)にしてしまえば、有給を使う必要はありません(月給制なら月給も変わりません)。有給が問題になるのは、お盆を労働日のままにして、有給で休ませたい・休みたい場合です。この場合に適法な方法は、大きく2つです。

1. 計画的付与(計画年休)を導入する

労使協定を結べば、有給の取得日を会社が計画的に割り当てられます(労働基準法第39条第6項)。「お盆のこの数日は全社で有給取得日にする」といった一斉付与ができます。導入には次の条件があります。

  • 5日は本人の自由に残す|計画的に割り当てられるのは、各社員の有給のうち5日を超える部分だけです(有給10日なら最大5日)。急な用事のための5日は必ず残します
  • 労使協定を結ぶ|過半数組合または過半数代表者との書面による協定が必要です(労働基準監督署への届出は不要)
  • 就業規則に定める|計画的付与を行う旨を記載しておきます
  • 有給が足りない人への配慮|入社まもない社員など、計画付与に充てる有給が足りない人には、特別休暇を与えるなどの対応が必要です

2. 社員本人の同意を得る

計画年休を入れていない場合は、社員一人ひとりから、お盆に有給を取得する旨の意思表示(有給申請や書面での同意)を得れば、有給を充てられます。ポイントは、形だけの「同意したことにする」ではなく、本人の明確な意思にもとづくことです。全社一律で強制するような運用は、同意とは認められません。

自社はどうする?お盆休みの決め方

迷ったら、次の順番で考えると整理できます。

  1. まず「お盆を会社の休日にするか」を決める|就業規則でお盆を会社の休日(所定休日)と定めれば、いちばんシンプルです。月給制の社員は月給が変わらず、有給を使う必要もありません(日給制・時給制の社員は、その日の賃金は発生しません)
  2. 休日にはせず、全社一斉に有給で休ませたいなら「計画年休」|労使協定と就業規則を整えれば、有給消化と年5日の取得義務への対応を同時に進められます
  3. 休日にはせず、休むかどうかを個人に任せるなら「本人の有給申請」|お盆に休みたい社員が、自分の意思で有給を申請します

どの方法が自社に合うかは、休みの日数や有給の付与状況によって変わります。就業規則や労使協定の整備は、当事務所の相談事例でもよくいただくテーマです。

すぐ使える|お盆休みと有給のチェックリスト

☐ お盆休みを就業規則でどう定めているか確認した(休日/休暇/無給・有給)
☐ 「同意なく有給を一律消化」になっていないか点検した
☐ 有給を充てるなら、計画年休か本人同意のどちらかで運用している
☐ 計画年休の場合:労使協定を締結し、本人用に5日を残している
☐ 有給が足りない社員への対応(特別休暇の付与など)を決めた
☐ お盆の扱い(対象日・有給か無給か)を社員に周知した

自社の就業規則への反映や労使協定の作成でつまずいたら、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

まとめ

お盆休みは法律上の休暇ではなく、扱い方は会社が決められます。ただし、有給を充てるなら「計画年休」か「本人の同意」が必要で、同意のない一律の有給消化は違法とされ、罰則の対象にもなり得ます。お盆を会社の休日にするのか、労働日のままにして計画年休や本人の申請で有給を充てるのか。お盆を迎えるこの時期に、自社の就業規則での定め方を一度確認しておくことが、余計なトラブルを防ぐ近道になります。

「お盆に有給を充てているが、この運用で問題ないだろうか」と気になる経営者・ご担当者の方へ。

Jinji社会保険労務士法人では、夏季休暇の就業規則の整備、計画的付与の労使協定の作成、年5日取得義務への対応まで、貴社の状況に合わせてご相談を承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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