固定残業代、正しく運用できていますか? 追加請求を防ぐ3要件

「毎月みなし残業代を払っているから、それ以上の残業代は払わなくていい」。そう考えている中小企業の社長は少なくありません。しかし固定残業代(みなし残業代)は、正しい要件を満たしていないと法的に" 無効"と判断され、残業代を改めて請求されるリスクがあります。この記事では、無効になる落とし穴と、社長がやるべき対策を解説します。

「固定残業代を払えば残業代は不要」という誤解

固定残業代(みなし残業代・定額残業代)は、一定額の残業代をあらかじめ払っておく制度で、それ自体は違法ではありません。ただし「払っていれば追加の残業代は一切不要」というわけではありません。実際の残業 がその固定額を超えれば、超えた分は別途支払う必要があります。

御社へのリスク — 「無効」だと"二重払い"に

固定残業代が要件を満たさず無効と判断されると、厳しい事態になります。

  • これまで固定残業代として払ってきたお金が「残業代の支払い」と認められず、残業代を改めて全額請求される可能性
  • さらに、その手当が「通常の賃金」に組み込まれ、残業代の"単価"が上がって請求額が膨らむ

過去にさかのぼって(原則3年分)請求されることもあり、中小企業には大きな痛手です。

有効と認められる3つの要件

最高裁も、固定残業代が有効かどうかを厳しく見ています(日本ケミカル事件・最高裁 平成30年7月19日 など)。ポイントは次の3つです。

  1. 明確区分性 — 通常の賃金部分と、残業代部分がはっきり区別できること
  2. 対価性 — その手当が「時間外労働の対価」として払われていると言えること(契約書の 記載や従業員への説明内容も見られます)
  3. 差額精算 — 実際の残業代が固定額を超えたら、超過分を別途支払っていること

社長が今やるべき3つのこと

  1. 就業規則・給与明細で"区別"を明確にする — 「固定残業手当=〇時間分/〇円」と明記
  2. 超過分の精算ルールを整える — 固定額を超えた月は差額を支払う運用に
  3. 求人票の記載も点検する — 厚労省は求人時にも固定残業代の内容明示を求めています

ピンチではなく「給与制度を強くするチャンス」

固定残業代を正しく整えることは、無用なトラブルを防ぎ、従業員からの信頼にもつながります。曖昧なまま運用するより、この機会に給与制度を点検しておくことが、結果的に会社を守ります。

「うちの固定残業代、これで大丈夫だろうか…」と不安な社長へ。
Jinji社会保険労務士法人では、給与制度・就業規則の点検、固定残業代の適正な設計のご相談を承っています 。トラブルになる前に、まずはお気軽にお問い合わせください。
📞 048-884-9672(平日 8:30〜16:30) / お問い合わせはこちら

参考