育児休業中の社員が復帰予定です。短時間勤務を希望していますが、会社として配慮すべきことを教えてください

育児を理由に一時的に職場を離れていた社員が職場に復帰する際、その働き方について対話を行うことが重要です。本記事では、短時間勤務や休暇の取得、ならびに所定外労働等の制限について配慮すべき点を解説します。また以下内容は男女問いません。

短時間勤務制度

  1. 制度の概要
    事業主は、3歳未満の子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければなりません。短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする措置を含むものとしなければなりません。
  2. 対象となる社員
    子どもが3歳未満の社員に適用可能です。ただし、事業所の規定により対象とならない場合があります。
  3. 手続
    短時間勤務を希望する社員は、会社にその旨を伝え、就業規則の定めに応じ、必要な手続きを行う必要があります。

所定外労働の制限

  1. 制度の概要
    3歳未満の子を養育する社員が申し出た場合には、事業主は、その社員を、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。
  2. 対象となる社員
    原則として3歳未満の子を養育する全ての労働者が対象となります。ただし、事業所の規定により対象とならない場合があります。
  3. 手続
    所定外労働の制限の申出は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要があります。

子の看護休暇

  1. 制度の概要
    小学校就学前までの子を養育する社員は、事業主に申し出ることにより、小学校就学前までの子が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
  2. 対象となる社員
    原則として、小学校就学前までの子を養育する全ての社員が対象となります。ただし、事業所の規定により対象とならない場合があります。
  3. 手続
    子の看護休暇の申出は、休暇を取得する日や理由等を明らかにして、事業主に申し出る必要があります。子の看護休暇の利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話等の口頭の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は、事後となっても差し支えないこととすることが必要です。

法定時間外労働の制限

  1. 制度の概要
    小学校就学前までの子を養育する社員が申し出た場合には、事業主は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはなりません。
  2. 対象となる社員
    原則として、小学校就学までの子を養育する全ての社員が対象となります。ただし、事業所の規定により対象とならない場合があります。
  3. 手続
    法定時間外労働の制限の申出は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要があります。

深夜業の制限

  1. 制度の概要
    小学校就学前までの子を養育する社員が申し出た場合には、事業主は、その社員を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはなりません。
  2. 対象となる社員
    原則として、小学校就学までの子を養育する社員が対象となります。ただし、事業所の規定により対象とならない場合があります。
  3. 手続
    深夜業の制限の申出は、1回につき、1か月以上6か月以内の期間について、その開始予定日及び終了予定日等を明らかにして、制限開始予定日の1か月前までに、事業主に申し出る必要があります。

その他の両立支援措置

  • 育児と仕事の両立を支援するためのその他の制度についても、会社としては配慮する必要があります。フレックスタイム制度、時差出勤の制度、事業所内保育施設の設置・運営など、さまざまな措置を講じるよう努める必要があります。

転勤に対する配慮

  • 事業主は、社員に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その就業場所の変更によって子育てが困難になる社員がいるときは、当該社員の子育ての状況に配慮しなければなりません。

不利益取扱いの禁止

  • 育児休業後の復職者に対する不利益取扱いは法律で禁止されています。そのため、育児休業を終えて復職する社員に対しては、他の社員と同等の待遇を保証する必要があります。

まとめ

  • 復職する社員に対する配慮は、法令の遵守だけでなく、働きやすい職場環境の構築にもつながります。育児と仕事の両立を図る社員をサポートし、その才能と経験を最大限に活用することで、企業全体の成長に貢献できます。