特定適用事業所に該当する事業所の方へ
令和6年10月1日より、厚生年金保険の被保険者総数が51人以上となる企業は、特定適用事業所に該当することとなりました。
これまでは通常の適用事業所として、被保険者のみが健康保険および厚生年金保険の加入対象でしたが、特定適用事業所になると、被保険者に加え短時間労働者も加入対象となります。
被保険者・短時間労働者の定義
被保険者
週の所定労働時間が30時間以上の方
短時間労働者
週の所定労働時間が30時間未満で、以下の全てに該当する方
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 残業代等を除いた月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない(休学者や夜間学生は除く)
保険料の決定について
健康保険および厚生年金保険に加入する方々の標準報酬月額は、以下の2つの方法により決定されます。
- 定時決定:毎年1回
- 随時改定:固定的賃金に大幅な変動があった場合
標準報酬月額は、3ヶ月間の賃金総額を平均した額で決定されます。この際、支払基礎日数(月給者は歴日数、時給者は出勤日数)が重要であり、一般の被保険者は月17日以上、短時間労働者は月11日以上必要です。
注意点
3ヶ月とも支払基礎日数が要件を満たしていなければ随時改定は行われません。下記のようなケースは特に注意が必要です。
例: 時給者の随時改定
従前の標準報酬月額が200,000円で、4月に20,000円の固定賃金の降給があった場合
- 4月:180,000円、20日
- 5月:126,000円、14日
- 6月:162,000円、18日
一般の被保険者の場合
5月の支払基礎日数が17日未満であり、3ヶ月とも要件を満たしていないため、随時改定は適用されず、標準報酬月額は200,000円のままです。
短時間労働者の場合
支払基礎日数が11日以上あればよいため、3ヶ月とも要件を満たしており、随時改定が適用されます。この場合の標準報酬月額は、(180,000 + 126,000 + 162,000) ÷ 3 = 156,000 → 160,000円となります。
区分変更について
取得時の区分を正確に決めることは勿論、被保険者から短時間労働者、またはその逆に変更する際は、雇用契約書や勤務実態から総合的に判断する必要があります。正確な区分設定等にお悩みの方は必ず弊所にご相談ください。ご相談がない場合、取得時の区分のままとなりますので、ご了承頂きますよう宜しくお願いいたします。