令和8年度の社会保険料率が決定:健康保険料は引下げ、一方で新制度「支援金」が開始

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、令和8年度の新たな保険料率を決定しました。賃上げに伴う保険料収入の増加や準備金の活用により、全国平均の健康保険料率は34年ぶりに引き下げられ、9.90%(現行10.0%)となります。

しかし、介護保険料の引上げや、新たに創設される「子ども・子育て支援金」により、実質的な負担総額は微増となる見通しです。

1. 主要地域の健康保険料率(都道府県単位)

賃上げによる標準報酬月額の増加を背景に、主要地域でも軒並み引き下げとなります。他県はこちら

都道府県令和7年度(現行)令和8年度(新)増減
埼玉県9.76%9.67%▼ 0.09%
東京都9.91%9.85%▼ 0.06%
千葉県9.79%9.73%▼ 0.06%

2. 全国一律で適用される「増額・新設」項目

健康保険料が下がる一方で、以下の項目が追加負担となります。

  • 介護保険料率(40歳〜64歳が対象)現行の1.59%から1.62%へ引き上げられます。
  • 子ども・子育て支援金(新設)令和8年度より全加入者を対象に、全国一律で0.23%が新たに徴収されます。

3. 給与計算の実務上の注意点

改定内容によって適用時期が異なるため、給与計算ソフトの設定変更タイミングに注意が必要です。

【翌月控除(一般的な事業所)の場合】

  • 4月支払給与から変更: 健康保険料・介護保険料
  • 5月支払給与から変更: 子ども・子育て支援金(新設分)

4. 負担増減のメカニズム

今回の引下げは、堅調な決算により積み上がった準備金(約6兆円)の還元と、賃上げによる収入増(前年比+約1,064億円)が主な要因です。(協会けんぽ収支見込み概要)

ただし、「健康保険料のマイナス分」よりも「介護保険・支援金のプラス分」が上回るケースが多く、東京都などの地域では社会保険料の合計額は実質的に微増となります。「トータルでは下がらない」地域が多い点に留意が必要です。


まとめ:今回の改定のポイント

今回の改定は、数字上は「健康保険料の引き下げ」という明るいニュースに見えますが、実務・経営面では以下の3点に集約されます。

  1. 実質負担は減らない: 健康保険料の減税分を、新設の「支援金(0.23%)」等が打ち消す形となり、手取り額は横ばい、あるいは僅かに減少する見込み。
  2. 事務負担の増加: 新たに「子ども・子育て支援金」の項目が増えるため、給与明細のフォーマット改訂やシステム対応が必須。
  3. 適用時期のズレ: 健康保険等(3月分〜)と支援金(4月分〜)で適用月が1ヶ月ズレるため、月次更新時のミスに注意。

顧問先様には改めてお知らせいたします。