住民税特別徴収決定通知書にある森林環境税って何?!

杉田さん、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、いいかしら?

もちろんです、明子社長。どうされましたか?

特別徴収決定通知書の一覧のタイトルに『森林環境税』という項目があったんだけど、これって何なのかしら?

森林環境税ですね。簡単に説明しますと、これは2024(令和6)年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税で、住民税に含まれている1人年額1,000円の税金です。

なるほど。それで、具体的にはどのように徴収されるの?

市町村が個人住民税均等割と併せて、1人年額1,000円を徴収します。この税収は全額、森林環境譲与税として都道府県や市町村に譲与されます。

つまり、私たちの会社の社員もその1,000円を払うことになるのね。

はい、その通りです。納税義務者は年額1,000円を住民税として市町村に納め、集められた税金は最終的に国に納められます。そして、国から森林環境譲与税として都道府県や市町村に譲与される仕組みです。住民税非課税の人は対象となりません。

そのお金は何に使われるの?

森林環境譲与税は、市町村においては『森林整備及びその促進に関する費用』、都道府県においては『森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用』に充てられます。

なるほど。どうしてこの税が必要になったの?

森林には国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全などの機能があり、私たちの生活に大きな恩恵をもたらしています。しかし、林業の担い手不足や土地所有者不明などの問題で、適切な管理が難しくなってきました。そのため、各地方団体による間伐などの森林整備が必要です。

それで、パリ協定の目標達成にも関連しているのね。

そうです。パリ協定の枠組みにおける目標達成に必要な地方財源を安定的に確保するために、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されました。緊急性を鑑み、2019年度から前倒しで譲与が始まっています。

具体的にはどのように使われているの?

例えば、秋田県由利本荘市では森林経営管理制度に基づく間伐等の実施、千葉県成田市では重要インフラ施設周辺の森林整備、神奈川県小田原市では市内小学校の内装木質化の実施、愛知県名古屋市と長野県木祖村では上下流連携による森林整備、佐賀県では林業アカデミーによる人材の育成・確保などが行われています。

とても興味深いわ。ありがとう、杉田さん。

どういたしまして、明子社長。

まとめ

森林環境税:2024年度から国内に住所のある個人に対して課税される国税。年額1,000円。
徴収方法:市町村が個人住民税均等割と併せて徴収。
税収の使い道:森林整備やその促進、市町村の支援等に充てられる。
創設の理由:森林の適切な管理とパリ協定の目標達成に向けた地方財源の確保。

6月は定額減税に注目されがちですが、今年から住民税の中にこのような仕組みが含まれていることも覚えておきましょう。日本の森林や林業、それに私たちの税金が有効に活用されているか考えてみるのもいいかもしれません。